ビジネスシーンでは「たたき台」という言葉がよく使われます。
「たたき台を作る」「たたき台をもとに話し合いをする」など、みなさん一度は聞いたことがあると思います。時には「たたき」と略されていることもあります。
新人や仕事を始めて間もない人には馴染みのない言葉かもしれませんが、仕事においては頻出の用語であり、「たたき台」をしっかり作れるようになると、上司からも一目置かれるようになるでしょう。
当記事では、上司から「たたき台を作っておいて!」と言われた場合の基本的な作り方と、押さえるべきポイントについて紹介します。
たたき台とは、『あることを決める時に、とりあえず作る素案・試案!』
たたき台とは、『あることを決める時に、とりあえず作る素案・思案』のことを指します。
『あることを決める時』というのは、仕事の場合は「企画」や「プロジェクト」の立案場面がほとんどです。
その企画やプロジェクトを進行するために、「検討すべき項目」を洗い出し、それらについてざっくりとした情報を集め、他のメンバーと話し合い、形にしていく過程の最初の資料となるのがたたき台です。
英語では、『draft proposal』(ドラフト プロポーザル)という風に訳されます。draftは「下書き」という意味があります。少しイメージしやすいでしょうか。
たたき台の基本的な作り方
1)目的やコンセプトを押える
企画やプロジェクトには、必ず「目的」や「コンセプト」が存在しています。
いくら「とりあえずの」「下書き」資料であっても、ここだけは外してはいけません。
指示をされた際に、目的やコンセプトが分からない時は、上司に確認してから進めましょう。
2)検討すべき項目を洗い出す
検討すべき項目は、企画書を作るときに必要となる項目とほぼ一致すると考えて良いでしょう。
具体的には以下のような例があります。
●ターゲットとする顧客
●準備物とスケジュール
●予算
●過去の同様企画の実績や反省点
●人員体制図
●成果指標(目標数値)
3)各項目について情報を収集する
洗い出した要素についての素案を作っていくのですが、この際は一人で綿密に計画するのではなく、ざっくりとした情報収集をするイメージで進めます。
可能であれば、過去の同様の企画やプロジェクトの資料などを収集するのが効率的です。
考え方としては、「この情報があれば、みんなで話し合いをする際に役立つだろう」という情報があると良いです。
たとえば、ターゲット顧客を選定・決定するためには、
●製品の強みやPRポイントの資料
●ターゲット顧客の母数の資料
●販売が伸び悩んでいる地域のリスト
などの資料を準備することで、検討材料が提示され、話し合いがスムーズに進むでしょう。
4)資料にまとめる
収集した情報を素案としてまとめます。資料作りにはあまり手をかけず、簡潔にするのがポイントです。
必要な写真等は添付しても良いですが、色をつけたり、飾りの画像を付けたりといった装飾は不要です。
たたき台を作るポイントは2つ
たたき台を作るポイントは、ずばり「スピード」と「数字」です。
「とりあえず」や「下書き」といった表現からイメージできるように、たたき台には「スピード」が求めれています。
ざっくりと大雑把な素案を早く提示して、メンバーでブラッシュアップする時間が多く取れるようにしましょう。一人で綿密に練り上げても、無駄になってしまうことが多くあります。
また、時間をかければかけるほど、待っている人の期待は高まるものです。
「これで、大丈夫かな・・?」と思うくらいのところで、一度メンバーと話し合う時間が持てるとベストです。
もう1つは「数字」です。これは、情報収集の際に抑えるべきポイントですが、収集した情報は「数字」を含んだものにしましょう。
「あることを決める時」には、心象的なことも決め手になりますが、結果を残さなければならないビジネスの世界では、「数字」という情報は最大の判断材料の1つとなります。もちろん、信頼できる出所のデータを使うようにしましょう。
どのようなデータが有益かどうかについては、日ごろから会社の数字や世の中の流れに注目して、情報感度を高め、必要な情報を上手く取り出す能力を身に付けておきましょう。
さいごに
基本的な作り方とポイントを押さえると、「たたき台」作りはそう難しいことではありません。
「自分一人で!」といった気負いを捨てて「みんなで作り上げていくこと」をイメージして、その準備を進めることが出来れば必ず成功します。
そして、良い準備ができれば、上司はあなたに次回も「たたき台」作りを頼んでくるでしょう。
経験を積むと、収集する情報を上手くコントロールして、企画やプロジェクトに自分の意見を反映することが出来るようにもなり、仕事が面白くなりますよ。ぜひ参考にしてみてください。