【書籍】ウソはバレる:従来の方法ではモノが売れないと感じてきた人に

本書(ウソはバレる)は、マーケターの方、経営者や新規事業の立ち上げを考えている方に参考になると思います。

目次より一部抜粋して以下の構成です。

パート1:時代は「相対」から「絶対」へ
・なぜソーシャル・メディアではマーケティングが効かないのか
・ソーシャル・メディアが生んだ新しい「意思決定パターン」

パート2:これからのマーケティングの形
・失われゆく「ブランド」の価値
・ロイヤリティと顧客満足度も「過去」のもの

パート3:新しいフレームワーク
・「影響力ミックス」で考える顧客の意思決定パターン
・「絶対価値」の世界で勝ち残るマーケターの新しい常識

パート1で、従来のマーケティングが通用しなくなってきた、という話。
パート2で、その背景とこれからのマーケティングの形。
パート3で、その解決策の一つの考え方(フレームワーク)の紹介。
と続きます。

文章量は多めの書籍ですが、事例や比喩表現が多いので比較的楽に読めるかと思います。

本書の概要

本書(ウソはバレる)の冒頭は、【もはや時代遅れのマーケティング「5つの常識」】というくだりから始まります。その5つとは以下です。

~本文引用~
「企業のブランドは今まで以上に重要である」
「ロイヤリティを築くことがマーケターの日々の大事な仕事」
「顧客はみんな不合理だ」
「過剰な選択肢は人々を麻痺させることがある」
「ポジショニングこそマーケティングの最重要課題」

いかがでしょうか、上記5つはまだ通じていますか?それとも、通じなくなってきたと感じていますか?
ちなみに私自身、BtoBマーケターやってますが、正直通用しなくなってきてるな、ということを感じています。逆に言えば、地方の会社でブランド力が大したことなくても、勝負ができるようになってきた、とも思っています。

みなさんも、ブランドなんて関係なく、知らないメーカーが作った新しい商品を買ったリしませんか。今まで、ずーっと同じ商品を買ってても、別の商品を買ったりしませんか。

なぜでしょうか。

本書では、従来のマーケティングが通じなくなってきた背景と、どのようなことを考えていく必要があるか、が紹介されています。

一部、次から記載します。

マーケティングが通じなくなってきた背景

購買における相対評価と絶対価値

~本文引用~
「かつて、私たちはもっとも手に入りやすい情報と比較して、相対的に意思決定を下していた。今では、たまたま目の前にある情報だけを参考に意思決定を下すことは少なくなった。」

本書では、上記引用にある「相対的な意思決定(=相対評価)」から、多くの情報をもとに自分で「絶対価値」を作り、評価するように変わった、と再三書かれています。

確かに最近、比較サイトやSNSで、商品・サービスのレビューが溢れています。
食事に行く場合には食べログを、デジカメ1つ買う場合には価格コムを。そのようなサイトのレビューを見て、判断しています。

もう少し踏み込めば、プロカメラマンが運営しているBlogやSNSを見てデジカメを検討する場合があるかもしれません。

自分自身で情報を探し、「自分で価値の基準=絶対価値」の基準を作って、他と比較検討していることが多くなってきていると思います。

つまり、本書に書かれるように、マーケター主導でメーカーがアピールしていくようなマーケティングは通用しづらくなってきています。

ウソはバレる

本書のタイトル「ウソはバレる」ですが、以前は、購入までの環境および誘導路を作って、購入まで導いていくことがマーケターの役目でした。
その中には、人間の心理面をうまくつくようなマーケティング戦略や、価値・ブランドを前面に押し出していくようなマーケティングが多かったのは事実です。

ですが、そのようなマーケターの作り出した商品価値は、消費者にはバレますよ、というのが本書のタイトル「ウソはバレる」につながるところです。

マーケターがどれだけ美辞麗句を並べようと、機能をアピールしようと、消費者の心には届きにくくなっています。

ではどうしていく必要があるのか

本書では「下記の3つの情報源の組み合わせ(=影響力ミックス)」による、フレームワークが紹介されています。

P:その人が前々(Prior)から持つ嗜好、新年、経験
O:他者、つまりほか(Other)の人々や情報サービス
M:マーケター(Marketers)

これは、消費者の購入判断となるもので、Pが上がれば相対的にO、Mが下がる、というような関連を持つものです。
なお、Pはあいまいで変わりやすく、Oは多様で信頼できるとされています。そして、肝心のMは疑われる存在という扱いとなっています。

実際、どうでしょうか。
メーカーの出す情報(M)より、専門家や利用者のレビュー(O)を信用したりしますよね。

このOの比重が増えてきているので、いかにOに働きかけていくか、そして消費者の行動を促すか、がマーケターには必要です。

本書はいわゆる「これをすればうまくいく」というようなノウハウ本ではありません。
具体的にどう、というものは、はっきりと記されてはいません。

ただし、背景を理解することで、次の戦略の一手を考えるきっかけになるのではないかと思います。
詳しくは、本書をご覧ください。

まとめ

本書ではマーケティングがうまく行かなくなってきたという背景の説明と、各所に事例が散りばめられているので、読み物としての価値はあるかと思います。

また、本書で紹介されているPOMのフレームワーク(影響力ミックス)を理解し、商品を買ってもらうにはどこに注力していくか、というのが戦略として考えられれば、面白いかもしれません。

そのことが、戦術としてのSNSの活用、オウンドメディアの作成に行き着くのかもしれません。

戦略・戦術を考えている方。ぜひ手にとって御覧ください。

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hito

ITコーディネータ、中小企業情報セキュリティ指導者、BtoBデジタルマーケター。 企業支援を得意とする酒好き。 どんなにアイディアが行き詰っても、酒を飲むと妙案を閃く、という酔拳使い。 Instagram:@hitotabi Twitter:@hitotabi_2012